立直(リーチ)とは
立直(読み方:リーチ)は、他人からポン・チー・カンをしていない門前状態で成立する麻雀役です。テンパイの状態になった際、「リーチ」と宣言し、**1000点棒(通称:リーチ棒)**を出すことで成立します。この行為を「リーチをかける」または「リーチする」と呼びます。
リーチのかけ方
リーチをかける際は、次の手順で行います。
- テンパイをする
- 打牌ダハイする前に「リーチ」と発声する
- 河に牌を横向きにして捨てる
- リーチ棒を卓の中央に置く(供託キョウタクする)
リーチをかけた後は、裏ドラを先に見る、他プレイヤーの手牌を覗くなどの行為は禁止です。また、引いた牌を手牌の横に並べず、そのまま捨てることで、イカサマを疑われないようにしましょう。
さらに、引いた牌を手牌に加えてアガっているか確認する行為もNGです。たとえアガっていても、引いた牌は手牌の少し横に置くのがルールです。
リーチに関する基本情報一覧
- リーチの翻数:1翻
- リーチの出現確率:45.1%
- 門前役(鳴き不可)
- 食い下がり:-
リーチの条件
リーチをかけられる手牌の形は、以下の3タイプに分類されます:
- 4面子1雀頭(基本形)
面子の形は、順子(シュンツ)・刻子(コーツ)・槓子(カンツ)のいずれでもOKです。
雀頭には制約がなく、数牌でも字牌でも問題ありません。さらに、雀頭で待つことや単騎待ちなど、待ちの形にも特に指定はありません。 - 七対子(チートイツ)
- 国士無双(コクシムソウ)
以下では、リーチができる条件・できない条件について詳しく解説します。
リーチがかけられる条件
リーチがかけられる条件は次のとおりです。
- 門前状態であること
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リーチをかける場合、他のプレイヤーから牌をもらっていない「メンゼン状態」である必要があります。他のプレイヤーが捨てた牌をもらっていなければ、リーチが可能です。
- 聴牌していること
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手牌にあと1枚牌が加ったらアガれる「テンパイ」の状態だとリーチが可能です。
- 残り1巡以上分の牌が山に残されていること
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山の残りが王牌ワンパイを除いて4枚以上ある状態、すなわち和了ホーラ・鳴き・暗カンされる可能性を除き、あと1回分のツモ回数が残されている状態でなければリーチの宣言はできません。つまり三麻(サンマ)の場合は3枚以上が必要です。
- 点棒が1000点分以上ある(トビありルールの場合)
-
リーチをかけるには、自分の持ち点から賭け金のように1000点を出さなければいけません。よって、持ち点が1000点未満だとリーチをかけられません。
リーチがかけられない条件
リーチができない条件は次のとおりです。
- 相手から牌をもらうポン・チー・明カンの副露フーロをしている
- テンパイしていない状態
- 山に1巡分以上の牌がない
- 点棒が1000点分未満しかない(トビありルールの場合)
リーチ棒の扱いとルール
リーチ棒を場に出す際は、一般的に1000点棒が使われています。
また、局が終了した際のリーチ棒の扱いは次のとおり。
- 誰かがアガった場合:アガったプレイヤーが得る
- 流局した場合:次局でアガったプレイヤーが得る
ダブロンの場合、リーチ棒は上家が獲得するルールとなっているため覚えておきましょう。
1000点棒を持っていない場合には、局の間や支払いの際に10000点棒や5000点棒を両替しておくのがマナーです。点数のやり取り時には、1000点棒がなるべく残る組み合わせにしましょう。
リーチのメリット
リーチをかける際の代表的なメリットには、次の4つが挙げられます。
- 1翻上乗せされることで点数が高くなる
- 一発・裏ドラといった偶然役と複合する可能性がある
- 他のプレイヤーを牽制できる
- リーチを宣言できれば他の役がなくてもアガれる
麻雀初心者は役を覚えていないとアガれるかどうかの判断が難しいものです。しかし、門前状態をキープしつつ4面子1雀頭の基本形を目指すことで、アガれる形を作りやすくなるのは大きなメリットです。
さらに、他に役がない場合でもリーチをかければアガれる状態に持ち込めるため、役が見込めない手牌でもアガりを狙うことが可能です。
加えて、安全牌かどうかの判断がつくまで他プレイヤーが攻めにくくなるため、リーチは他者への強力な牽制手段にもなります。
リーチのデメリット
リーチをかけた場合のデメリットとして、よく挙げられる内容は次のとおりです。
- 手牌が変えられない
- 自分のアガり牌じゃない場合に危険牌でも捨てなければならない
- 相手がアガり牌を出しづらくなる
リーチ後は手牌を変えることができないため、たとえ赤ドラや高点数の待ち牌を引いても捨てなければならない点に注意が必要です。また、相手がリーチをかけてテンパイしているとわかっていても、ノーガードで打牌する状況に追い込まれることもあります。
そのため、手牌を見て点数が高くなりそうな場合や、相手より明らかに点数が低いと判断した場合には、放銃(ホウジュウ)を避けるためにリーチをかけない選択肢も重要です。時には即リーを避け、ベタオリする判断が勝敗を分けることもあります。
リーチと複合する相性のいい役
リーチはテンパイしていれば、点数や山の残り枚数の条件を満たすだけで宣言可能であり、翻数が関係なくなる役満/W役満以上の役を除いて複合できます。以下に、麻雀初心者でも覚えやすく、狙わずとも成立しやすい役を3つ紹介します。
平和(ピンフ)
平和(ピンフ)は、リーチと同じ門前役かつ1翻役です。出現確率が高く、リーチと組み合わせて狙われることが多い役でもあります。条件を覚えれば比較的狙いやすいため、初心者にもおすすめの役です。
断么(タンヤオ)
断么(タンヤオ)は、リーチと同じ1翻役で、2〜8の数牌のみを使って手牌を構成する役です。**「喰いタン」**という鳴きありのルールも存在します。
么九牌(ヤオチュウハイ)(1, 9, 字牌)を優先的に捨てているだけで成立しやすく、初心者向けの役として非常に有名です。
一発(イッパツ)
一発(イッパツ)は、リーチ後1巡以内にアガると成立する偶然役です。リーチを宣言し、他家がポン・チー・カンの副露をしなければ成立し、1翻がつきます。これも初心者にとって覚えやすい役の一つです。
門前清自摸和(メンゼンチンツモホー/ツモ)
門前清自摸和(メンゼンチンツモホー)、略して**「ツモ」は、アガリ牌を自分で引くと成立する役です。門前状態であれば成立するため、リーチとの相性も良く、「リーチ一発ツモ」のように複合することで一気に満貫**も狙える手牌に変化します。
また、終盤では、点数差を考慮して他家のアガリ牌を見逃し、ツモの役をつける戦略や、三色同順や一気通貫が成立しない方のアガリ牌を見逃してツモ狙いをするなどの戦術も考えられます。
リーチに関するよくある質問
- リーチ後に手牌は変更・入れ替えはできる?
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リーチの宣言後は、手牌の交換・変更はできません。引いた牌がアガり牌でなく、暗カン(暗槓)ができる牌でない限り、そのまま河に捨てなければならないことを覚えておきましょう。
- リーチ後にカンはできる?
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リーチ後は、待ちの形が変わらない場合にのみ、暗カンが可能です。もし待ちの形が変わる暗カンをしてアガった場合にはチョンボとなります。ただし、他家が先にアガった場合にはチョンボにはなりません。また、相手の捨て牌からもらう明カンはできません。
- リーチの宣言牌でロンされたら点棒はどうなる?
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リーチの宣言牌でロンされた場合、リーチは成立していないため、リーチ棒をロンした人に渡す必要はありません。リーチを宣言し、牌を捨てた後に1000点棒を供託するため、順序的に供託していない扱いとなります。
- リーチしたあとアガり牌を見逃したらどうなる?
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リーチをかけて他のプレイヤーが捨てたアガリ牌を見逃すと、フリテンとなり、相手の捨て牌でアガるロンあがりはできません。しかし、フリテンの状態でも、自分で引いた牌でアガるツモあがりは可能です。
- リーチをかけたのにテンパイしていなかったら?
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リーチをかけたのにテンパイしていなかった場合、流局後に手牌を公開した際に誤リーチと認められ、チョンボ扱いとなります。
- 4人全員がリーチしたらどうなる?
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4人全員がリーチをかけた時点で、四家立直となり、通常は流局扱いになります。しかし、途中流局を認めないルールが存在する場合、その場合はゲームが続行されます。
- リーチできる状態になったらしなきゃダメなの?
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リーチができる状態になっても、すぐにリーチをかけなければならないわけではありません。ダマテンの状態で、待ちを変えたり、様子を見たりすることも可能です。
- リーチとテンパイの違いは?
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リーチは、テンパイを宣言している状態であり、役なしでもリーチを宣言することで1翻がつきます。一方で、テンパイは、役の有無に関わらずアガリの形の一歩手前の状態を指す麻雀用語です。
他に役があるテンパイの状態では、リーチをかけずにロンを宣言してアガることができます。
リーチとよく一緒に出てくる麻雀用語
リーチとよく一緒に出てくる麻雀用語として、**「〇〇リーチ」や「〇〇リー(チ)」**といった言葉があります。これらは単なるリーチと意味が変わらないこともありますが、それぞれの単語を覚えておくと役立ちます。
ダブル立直(ダブルリーチ)
ダブル立直(ダブルリーチ)とは、親の場合は配牌時点、子の場合は第1ツモの時点でテンパイが成立している際にかけられるリーチです。通常のリーチと異なり、2翻になりますが、暗カンをしてしまった場合や、他家によるチー・ポン・カンがあった場合は成立しないため、注意が必要です。
オープン立直(オープンリーチ)
オープン立直(オープンリーチ)とは、手牌を公開してリーチをかけるローカルルールの一つです。オープンリーチは2翻扱いとなりますが、オープンリーチに振り込んでしまった場合には、役満払いになることが一般的です。
振聴立直(フリテンリーチ)
振聴立直(フリテンリーチ)とは、フリテンの状態であるにも関わらずリーチをかけることを指します。通常のフリテンと同様に、他家からロンあがりはできませんが、ツモあがりは可能です。あえてフリテンリーチをするメリットは、通常のリーチと同様に点数の上乗せ狙いや相手への牽制になることです。
追っかけ立直(おっかけリーチ)
追っかけ立直(おっかけリーチ)とは、他家が先にリーチしている状態でリーチをかける行為を指します。通常のリーチと異なる点はありませんが、追っかけリーチをするメリットとしては、先にリーチをかけた他家が降りられないため、普段であれば出にくいアガり牌でも捨ててくれる可能性があることが挙げられます。
即リー
即リーとは、リーチできる条件になったらすぐにリーチする行為を指す麻雀用語です。
引っかけ(引っかけリーチ)
**引っかけ(引っかけリーチ)**とは、捨て牌でリャンメン待ち(両面待ち)のスジでアガりがないと見せかけ、実際にはそのスジ待ちでリーチをかけることです。相手に誤った情報を与え、警戒を誘う戦術の一つです。
リーチに関する特別・例外ルール
リーチをする際に、次のような特別ルール・例外もあります。時と場合によってルールが異なる可能性があるため、必要があれば対局前に確認し、認識をあわせておきましょう。
- リーチ棒を出してちょうど0点になる際のリーチを認めるか否か
- トビ無しの場合に点棒を借りてハコ下リーチを認めるか否か
- 山が残り3枚以下の状態でリーチを認めるか否か(サンマなら2枚以下)
- リーチ後の暗槓を認めるか否か
- 南4局で流局した場合のリーチ棒の扱い
リーチするときに覚えておきたいポイントまとめ
1翻役である立直(リーチ)は、最も出現しやすい麻雀の役です。ピンフやタンヤオと複合して狙われることも多く、初心者でも覚えやすい基本役の一つです。そんなリーチの成立する条件は以下の通りでした。
- 門前(メンゼン)状態であること
- 聴牌(テンパイ)していること
- 残り1巡以上分の牌が山に残されていること
リーチをする場合には、フリテンや見逃しに注意しながらかけるようにしましょう。清一色や多面待ちなどで、どれが待ちかわからない時に長考してリーチをしてしまうことがありますが、これは相手にヒントを与える原因になるため注意が必要です。
コツを掴めば、リーチをかけるべきタイミングや、ダマテン状態で待つ選択をすることができるようになります。
リーチを使いこなすことは、麻雀初心者脱却の第一歩です。