自宅教室、自宅サロンは、住んでいる場所を事業として使います。今回は、自宅でやるメリット・デメリットではなく、自宅で事業をやる場合、気をつけなければいけないことを取り上げます。
第2回 家族のこと、家の環境のこと
大きく分けて「対人」と「立地・環境」「経費の家事按分」の3つの注意点があります。
家族のこと
理解と協力を得る
家族で住む自宅を利用する場合、家族のプライベートに少なからず影響が出ますので、全員の理解と協力を得る必要があります。資料を作り事業としてちゃんとやりたいんだと伝えることで応援を得ましょう。ここでも事業計画書が役立ちます。
家族の嫌がることはしない
以前、自宅マンションでやっている知人のパン教室に遊びに行ったときのことです。自室にいるという中学生の娘さんの気配が一切ないのが気になりました。3LDKの一般的な広さのマンションです。知人は「平気よー」と言ってましたが、キッチンやリビングで知らない人が何時間もわやわややっているのを思春期の子供はよく思っていないのではないか……と考えてしまいました。一方、ある自宅料理教室では、学校から帰ってきた子供が「こんにちはー」といって冷蔵庫からジュースを持って行きました。家族が教室をどう思っているか、生徒さんは気配を敏感に察知します。
レッスンを行う曜日、時間帯
レッスン開催する日時は家族の希望や都合を聞いて決めます。土日は止めて欲しいとか平日いない時間ならOKとか意見が出てきます。自分のしようとしているレッスンがその時間帯にできるかどうかを考えてください。
例えば、子供向けの教室をしたいのに自宅を使えるのは平日昼間だけ、ではできませんね。時間に制限があることも考慮したプランを考えましょう。
専用スペース、共有スペース
掃除、片付け
生活感があふれている、掃除が行き届いていないなどは生徒さんが気にする部分です。レッスン専用の部屋で行う場合も、エントランス、廊下、トイレ洗面所などの共有部分に気を配りましょう。
物品のトラブル
収納棚を利用して隠す鍵をかけるなど含め、できる限りものを置かないようにします。また生徒さんが他の部屋に入らないような工夫と目配りが必要です。
ものが壊れた、無くなったというトラブルの元になるものは極力無くす努力をしましょう。
何かあった時にどうするかのルール決めもしておくと良いでしょう。
自宅周辺への配慮
集合住宅
賃貸でも分譲でも、マンションや団地などの集合住宅は営業不可の場合もあります。はじめる前に自宅を事業として使うことができるか調べましょう。営業不可の場合は自宅以外の場所を探しましょう。こっそり秘密でというのはバレるものなのでやめましょう。
一戸建て
教室は不特定多数の人が出入りします。近隣とのトラブルにならないよう気をつけましょう。住宅街の教室で、生徒さんの路上駐車が元で揉め事になったという話もあります。
はじめる前の挨拶まわりや、普段から良好なお付き合いを心がけましょう。
経費にできるもの(家事按分)
事業経費と自家消費分に分けることを家事按分といいます。ガス、電気、水道など事業に使った分について経費とすることができます。
自宅が賃貸の場合
使用したスペース、時間分の家賃を経費とすることができます。
自宅が持ち家の場合
自宅を購入した場合、減価償却費・固定資産税・管理費・住宅ローンの金利を自家按分して事業に使った分を経費計上することができます。住宅ローンは経費にはできません。
どのくらいを経費として計上するかは、自分で計算してOKですが、税務署に指摘を受けた時に提示できる客観的な根拠を準備しておくことが大切です。適当にこのくらい」はNGで、「こういう根拠で計算した」と説明できるようにしておきましょう。
「初めて知った!」ということがあったでしょうか。自宅教室は手軽に始められるとはいえ、事業者として知らなかったではすまないこともあります。きちんと学んで正しく事業を行っていきましょう。
次回は「教室を運営するのに必要なスキル」についてです。
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