【個人教室の先生へ送るメッセージ】​04 情報管理の意義を知る

このメッセージのテーマは「教室の先生から経営者になる」です。あなたは経営者ですか?または経営者になりたいと思っていますか?

実はこれ、わたしが教室を始めて4年目くらいだったかな。開業以来ずっと相談役をしてくださっていた中小企業診断士の井手美由樹先生に言われた言葉なんです。

「松本さんは、教室の先生になりたいの?それとも経営者になりたいの?」

答えは迷うことなく「経営者」だったのですが、それまで意識したことがない問いだったので、はっと目が覚めた思いでした。「経営者」というのを意識の中心に置くようになったのはその時からです。

わたしたちがやっている個人教室は産業分類でいうと「教養・技能教授業」といいます。

教室業は大きな資金も要らず気軽にできるので、技術はある教えることも好きだけど経営は素人という人が多いです。

もちろん誰でも最初は素人。何も知らないことを恥じる必要はないのだけど、事業を始めたからには、実践で学びつつ、本を読んだり講座に参加したり先輩経営者の方と話をしたりして学びながら、ちいさな事業なりの経営者になってほしいと思います。それは自分自身を大きく成長させることになるし、たくさんの可能性が広がるからです。自信をもって自分の事業をしている人はとても魅力的です。子どもたちの道標になれるそんな大人たちがたくさん増えることは良い社会を作ります。

さてさて、話題を少し変えましょう。

今はデータ活用の時代。コンピュータが発達してあらゆるものがデータ化されるようになりました。物流、小売はもちろん医療の現場でもデータ活用で、わたしたちの生活はとても便利になりました。

教室でいうとどうでしょうか。うまく活用できているでしょうか。

たとえば、まず一番大事な情報は生徒さんの連絡先。代表的なものはメールアドレスです。レッスン申込時に生徒さん側から教えていただけるものですね。

わざわざホームページまでレッスン情報を見にこない人も、一度行っていいなと思った教室から自分の興味ある内容のメールが送られてきたら読んでくれる、申し込みにつながる可能性は高いです。一度来てくれた生徒さんの連絡先リストがどれだけ貴重かというのはマーケティングをしている方なら知っていることですが、教室業の先生は今ひとつそこがピンと来ない方が多いようです。

実は、ウェブからの新規集客よりずっと可能性のあるデータをあなたは持っています。

今はSNSのメッセンジャーやLINEが手軽で、そういうものを使って募集や申込受付をする教室も多いのですが、メールアドレスのリスト化はしておきましょう。

そして情報はただ全員に送ればいいというものではなく、その人に合わせた内容のメールを送る方が効果的。

メールアドレスがきちんとあって、それぞれの生徒さんの属性(誕生日、参加したレッスン、年齢などなど)がデータベース化していれば効果的なメールを送ることもできます。

例えばアイシングクッキー初級・中級クラスまで参加している生徒さんに新設の上級クラスの案内を送ろうとか。

これはエクセルや手帳での管理だと大変なのでデータベース化をおすすめする大きな理由のひとつです。

また、平成30年5月より個人情報保護法が改正になり、すべての事業者が対象になりました。お客様から個人情報や個人識別番号を取得・利用する時のルールの明文化や適切な保管が義務付けられています。詳しくは「個人情報保護委員会」で調べてみてください。

個人教室としてするべきことは、

  • 生徒基本情報を一元で管理すること。(あっちこっちバラバラにあると管理ができません。)
  • セキュリティの確かな場所で保管すること。(個人のパソコンで家族が見られるなどは厳密にいうとNGです。)
  • ウェブサイトにプライバシー・ポリシーの表記をすること。

インターネットから申込をさせる方法は通販とみなされます。併せて特定商取引に関する法律に基づく表記も載せましょう。

最後にこんなエピソードを。

友人がある講座を申し込んで勉強をした時のこと。全12回のうち7回を終えたところで先生が亡くなってしまうという不幸がありました。講座は中止せざるを得ず、友人は残りの分の資料だけでもほしいと事務方に連絡したのですが「わたしも先生が亡くなって動揺していて」などと言われ資料はもとより返金もされなかったそうです。

事故にあったり病気で倒れたり、約束していたレッスンが急にできなくなってしまった時、家族や代理人が、生徒さんにスムーズに連絡が取れる状況になっているでしょうか。

情報のデータベース化、個人情報の管理は事業者としての責務です。経営者としてやるべきことという意識を持ちましょう。

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