教室開業のハードルのひとつに「女性は人からお金をいただくのが苦手」があります。
私もそうでした。ずっと昔のことになりますが、お金を貰うのが苦手から気持ちを切り替えられた時のことをお話しします。
私は開業前に近所の地区センターの調理室を使って子供向けのお菓子教室を始めました。最初の受講費は500円。当時、公共の施設は「営利不可」(因みに最近はOKのとこもあるとか、時代は変わっていきますね)なことから、材料費のみと考えての金額です。
たった500円でも値段をつけることは緊張したし、自分で考えて提供したものでお金をもらった初体験は本当に感動しました。余談です。
教室が人気になってクラスも増やすようになりました。生徒が増えるほど準備が大変になっていき、500円ではしんどい仕事量に。
(そもそも”営利”ってなによ)と思うようになりました。働いているのにまったくお金にならないってちょっとネガティブな感情が出てきちゃいますよね。
でもこれは、公共施設を使っている限り解決できない問題です。元々起業できたらいいなと始めたトライアルだったので、地区センターの間は1,000円(ちょっと上げました)でOK、ただし期間は2年間。期間を区切り開業準備をすることの方に気持ちを切り替えました。
少額を頂くことには抵抗がなくなったものの、事業となるともっと金額を上げる必要があります。友人たちに聞いてみると「ケーキ屋さんでホールケーキを買っても3,000−4,000円(*当時)。習うならそれくらいの金額かな」とのこと。でもコスト計算をするとそんな金額ではとても事業にはならないんです。でもみんなそんなにお菓子作りを学ぶことにお金を出してくれないのかも。
うーん、どうしたものか。
働いた分お金を得たい、でも不安。ずっとそんな気持ちを抱えながら開業準備をしていた時、起業スクールで先輩起業家さんのお話を聞く機会がありました。
彼女はパン屋で開業した方でした。パンを作るのが好きで好きで作っては周りの人にあげていたそうです。「でも良い材料を使うからすごくお金がかかる。これじゃ好きなパンを思いっきり作れない。そこでパン屋になってしまえーと開業することにしました。」
好きから起業する女性の気持ちそのものでとても共感しました。
その中でも、パンを配る時にお金を貰うことにしたところ、みんなが「払う払う!」と喜んでお金を出してくれたというエピソードが深く印象に残りました。そんなにパン作りが好きな人が作るパンは安心材料で美味しいに違いない、もし自分が当時の彼女の友達だったら喜んで買うし、こんな美味しいパンを作ってくれる人が側にいてラッキーって思うな、羨ましい……。
良いものを提供してくれたら嬉しい。自分が価値を感じればお金を出す。
「あ、これか」
そのパン屋さんのパンはもちろん高めの金額設定。でもたくさんお客さんが来ています。
考えてみれば、自分たちはそうやって日常お金を使っているんですよね。お金貰うことになぜか背徳感を感じるのは、完全に自分の心の問題でしかなく、単純に切り替えればよいだけと気がついたんです。
実際に自分がやってみるとさらに実感が増します。これだけのことをしているのだからこれくらいいただこう、それでよいのだとわかりました。
教室は物販と違い、技術を教える、時間を提供するなどの無形のサービスです。無形のものに値段をつけるのって難しいですよね。
当然、スタートの時は特に自信がないし不安になります。
でも、良いものを提供するための努力を続けることがその問題を解決していきます。
教室をやろうという方ならきっとできると思います。
良いものを提供してきちんと対価をいただく構造を作っていきましょう。