自宅で教室を始めたいのだけれどなにから手を付けて良いのかわからないという声を多く聞くので、自宅サロン開業に必要なことをシリーズでお伝えしていきます。
第1回 教室開業リアルな話-適正やお金のこと
さて、教室を開くにあたって必要なものはなんでしょうか。まずは適正、それからお金の話をしますね。
■教室の先生に向いている人(適正)
以下を読んで教室運営ってこういうことが必要なんだなーと思ってください。
当たり前ですが「教えられるもの」を持っていること。料理、ハンドクラフト、語学などなど。資格や免状などは必ず必要なものではありません。
どんなに小さくでも生徒さんから料金を取ってレッスンを行うことは商取引です。事業者として開業届を出し確定申告を行います。法令についても知っておく必要があります。売上が少なければ課税対象にはならないので嫌がらずに確定申告をしましょう。理由については今後このシリーズで述べていきます。
上記の「専門技術」「事業経営」については適正以前に必ず必要なことなのでなんとなく想像がつくと思います。
一方、「自分は教室の先生に向いてるかな?」と考えたことはあるでしょうか。教えられるもの(専門技術)があるからといって誰もが教室の先生に向いているとは限りません。コミニケーション力こそが教室の先生に向いているかどうかを判断する基準かもしれません。
コミニケーション力?自信がないな、どの程度?と思うかもしれませんが、要は「人が好き」という気持ちです。
教室が人気になる先生は、皆さん人柄がよく、生徒さんに好かれる、信頼される方なのです。
生徒を喜ばすのが大好きという方が向いています。教室業はサービス業です。人付き合いが苦痛、人に気を使うのは嫌という人はちょっと教室経営には向いていないかもしれません。
教室業に限らず、自営業は基本ひとりで全部こなします。
イメージしてください。会社だったら「経理」「総務」「広報」「営業」「企画」「経営」などなど部署が分かれ、各専門の担当者がいますね。これを全部ひとりでやります。買い出し、掃除、片付け、修繕なども。レッスン以外の細々とした雑務を厭わないまめさ、または要領の良さが必要です。
■教室開業に必要なお金のこと(事業資金)
次にお金の話です。まずは自宅にあるもので始めれば資金はかからない?そうとも言えるしそうではないとも言えます。
どのような教室を作るかで大きく違ってきますが、最低でも50〜100万円程度は準備しておきましょう。まったく資金0でもできなくはないですが、かけた費用と売上高は大概比例します。ある程度開業時に投資する方が早く効率よく売上を作ることができます。費用対効果をどう考えるかが経営の鍵です。またお金を用意することで「事業としてやるのだ」という自覚と責任感も生まれます。
自宅教室が小規模な事業とはいえ初期投資は必要です。ではお金がかかるもの、かけるべきものは何でその理由は何でしょうか。
お金がかかるもの、かけた方がいいもの
- 広報宣伝(HP作成、ドメイン取得、チラシなどの販促物)
- 教室環境を整えるための設備
- レッスンの材料・消耗品費
- 講習受講費、コンサルティング費用
- 運営に関わるITツール(クラウド会計ソフト、予約・顧客管理アプリ、決済代行サービスなど)
お金をかける理由
- 専門知識のある人に教えてもらったり依頼した方が学びが早い。
- 受講料を受け取る前にレッスン用の材料・資材を購入し準備する必要がある。
- 安いもので揃えると安っぽくなる。レッスンを高単価で売ることが難しくなる。
- ツールを使用することで省力、省時間になる。ひとりでやる事業の場合意外にこれが重要。
どのくらいの費用をかけるべきかはケースバイケースなので一概には言えません。売上とのバランスを考え、売上目標額から算出しましょう。例えば、年商200万円(月売上約17万円)の目標で毎月5万円の広報費用をかけるのはどうでしょうか。
ただし、初期費用(開業費用)はある程度かかるのが普通です。数年で回収するつもりで投資します。数年の目安は、融資を受ける際の返済期間(運転資金5年以内、設備投資10年以内)を参考にしましょう。投資額は必ず回収してください。つまり回収できなさそうな額は投資しないでください。
売上高に関わらず、事業を行うには一定のお金と労力が必要です。自宅教室を目指す方は、「月5万円くらい収入になればいい」「無理のない範囲で」という方も多いのですが、それでは収益を得ることはできません。どのくらい費用がかかって収益を得るためにはどのくらい売上げる必要があるのかは開業前だとイメージしにくいため、事業計画書を作りシミレーションする必要があります。
自宅教室の場合は、初期費用といっても数百万円かけるというようなことはあまりないと思います。事業用物件を借りて工事が入るとか、自宅の一室を教室用に改修するなどで費用がかかるのにお金が足りない場合は検討しても良いですが、自己資金で賄えるのであれば借りる必要はありません。
借り入れをする場合は国や自治体の開業支援融資を利用しましょう。「自治体名+開業支援融資(創業支援融資)」などの検索で商工会議所など公的な相談窓口が出てきます。民間の金融機関は少額融資を面倒臭がるところも多く、一般的には日本政策金融公庫を利用することが多いです。